劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語(コミカライズ版)の感想やちょっとした考察など

感想

劇場版は有楽町の火事のせいで見に行くチャンスを失ってしまったが、それはそれとして当初の予定通り、叛逆の物語の初見は漫画版で完了(ミッションコンプリート)。
そのため、劇場版から省かれたりした部分のネタは抜けてますのであしからず。
当然ネタバレだらけ。

ほむらについて

本編でもかなりの重要キャラではあったが、叛逆では晴れて主人公の立場に。
まあ、同時に黒幕でもあるんだけども。

ほむら曰く、希望よりも熱く絶望よりも深い愛という感情だが、改変後のまどかへの問いかけから、それが欲望の類のものであるという事は自覚しているようだ。
ほむらが望んでいるのはあくまで「人としてのまどかの幸せ」のようなのだが、そのためにまどかを束縛し、彼女の決意を否定し貶めているので、やはり身勝手な欲望という事か…。
ほむらはクレイジーサイコレズ、これは最早公式と言っても過言ではなかろうて。

悪魔になった後も魔獣の討伐は続けさせているのは、呪いを処理しなければ理想の世界を存続させる事ができないという理由からなのだろうが、まどかが神になった後に誓った「まどかが守ろうとした世界を守る」という想いを裏切らず守り続けているという風に考えると、ちょっとほっこりした気持ちになれてステキ。
そのまどかの守ろうとした世界を改変した?細かい事はキニスンナ。

さやかという存在

後半のさやかの「一人で背負い込もうとするな」という言葉は、かつてそれで失敗したさやかが言うと重みがあるね。
「一人で背負い込んだ」挙げ句、「自分の本当の気持ちと向き合えなかった」かつてのさやかに対して、「一人で背負い込んだ」上で「自分の本当の気持ちと向き合った」のが叛逆でのほむらという対比になっているように思う。
一人で背負い込んだ上で魔女になったところまでは共通しているが、その後が大きく違うわけで。

また、さやかは最終的に本当の気持ちと向き合った結果、純粋に恭介を祝福し身を引いた一方、ほむらはまどか自身の人並みの幸せを諦められられず、束縛する事を選んだと、ここでも対比になっている。

改変後にも長く記憶を保っていてほむらとやり取りしたりと、ほむらのライバルポジションとして配置されているのは明白で、円環の鞄持ちになったさやかは、実にキレイなさやかちゃんでした。
むしろキレイすぎて誰だお前って感じだが、固すぎる意志を持つほむらと相対する役割としては、このくらいの強さがないと張り合えないとも思うので仕方ない。
本編で4~8話までと、伊達に一番長い間スポットが当たっていたわけではないね。

そしてキレイすぎた反動か、漫画版カバー下でいじられるさやかちゃんなのでした。

キュゥべえという存在

叛逆におけるキュゥべえの役割は、干渉遮断フィールドとか都合の良すぎるものを持ち出してきたりと、まんま舞台装置(デウス・エクス・マキナ)。
円環の理の存在する世界で魔女を生み出し、まどかを人の形で引きずり出してくるためのお膳立ての役割やね。
これは確か虚淵さんの口からも似たような事が言われていた気がする。

ただ、元々魔法少女というシステムを持ち出し全ての元凶として君臨する、世界観を創り上げる役割だったので、舞台装置役なのは本編の時からずっと変わらないのかも。
まあ、脚本家の分身…物語の中で動かす駒、アバターのような存在というのが一番しっくり来るくらい、虚淵の意志を代弁する便利な存在として扱われているのは間違いない。

そんなキュゥべえの末路は、魔女化と円環の理という事象を観測し制御するための行動がほむらを悪魔化させるきっかけとなり、そのほむらの手によって、危険で手に余るものから手を引く事も許されず、「魔獣を倒すための魔法少女システム」を存続させるためだけに、搾取され続ける立場に落とされた。
かつての立場と完全に逆で、まさに好奇心はネコを殺す。
彼らはこれから、新CEOのほむらさんに社畜としてコキ使われ続ける事でしょう…。

その他

ほむらが世界の違和感を感じ始めてからは全体的に暗い雰囲気で進むけども、絶好調なマミさんとのガンアクションや、かつて敵対した魔女や使い魔達との共闘という、分かりやすい盛り上がり所も用意されていて、アクション面でも本気度が高い。
これは是非映像で観たいのでBDマダカナー

あと、偽りの見滝原の町並みや顔のないモブなども、映像で見てみたいところだ。
その他、バスの辺りも映像音声が加わるとどれだけの不気味さになるのだろうか、とか、ほむらが自分の頭に銃を向けるシーンも漫画版では別の表現に変更?されてたので、そこなんかも。

本編に引き続きハッピーともバッドとも言えないトゥルーエンド的な終わり方で、まだまだ物語の広がりの余地が残されている良い展開だった。
これは早く声優の演技などスタッフの力総動員の映像が見たいですわ。
BDマダカナー

ところで、最初に書かれた脚本では、ほむらが「この瞬間を待っていたんだー!」せずに救済されて終わりだったそうで、そのままではあまりにも「単なる後日談」の域を出ていないという事で物足りなさを感じていたところに、新房監督の「まどかとほむらをケンカさせてみたら?」の鶴の一声でほむらの悪魔化を思いついたらしい。
まあ、やっぱり一人で背負い込んじゃダメって事ですね!

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